自治体などの公共機関が業務を行う中で、業務に関するさまざまな情報やデータのやりとりは非常に重要な役割を果たしている。その際、外部からのサイバー攻撃や情報漏洩を防止しつつ、迅速かつ安全にデータを共有する必要が高まっている。そこで採用されているのが「総合行政ネットワーク」と呼ばれる閉域ネットワークであり、多くの自治体関係者が業務の効率化と安全な情報共有を実現している。このネットワークは通称でLGWANと呼ばれ、公共部門の基盤を支えるものとして定着している。LGWANは従来のインターネット回線と異なり、閉じたネットワーク環境で自治体間や多様な公的機関同士の情報共有や通信を実現する基盤である。
一般的なインターネット回線に比べて通信経路が特定利用者のみに提供されているため、機密性や安全性の高さが特徴となっている。このような特性によって、広域に展開する行政機関同士が互いに機密性の高い公的データをやりとりしても、外部からの不正アクセスやデータ抜き取りのリスクを低減することができる。行政職員が使用する複数の業務システムは、年々その数と複雑性が増してきている。これらの業務システムは、たとえば住民基本台帳に関する処理や税務の計算、住民サービスにかかわるさまざまなデータ処理など、膨大な個人情報を含んだ敏感な情報を多く取り扱う。情報の漏洩や改ざんが起ころうものなら、住民生活や公共サービスの信頼に重大な影響を及ぼしかねない。
そのため、多くのシステムがLGWANを通じて相互接続され、安全性が確保されている。LGWANのインフラ設計において、セキュリティは最重要事項である。外部インターネット網との物理的・論理的分離が図られており、インターネット向け業務を行う端末と行政情報専用端末を切り分ける運用がとられる場合も多い。つまり、多くの自治体では行政業務用のパソコンはLGWAN経由のみでデータの送受信が許され、一般的なインターネットには直接アクセスできないよう厳格なルールと機器の構成が設けられている。これによりウイルス混入や外部からの侵入、それによる情報搾取などのリスクを極限まで減らす環境構築が行われている。
安全性を保つためには、定期的なネットワーク機器の更新やセキュリティパッチの適用、人為的なミスや不正アクセスへの対策も欠かせない。ネットワークの監視やアクセスログの記録などの運用体制が重要なポイントとなっており、これらによって責任の所在や不正行為時の速やかな原因究明・対応が可能となっている。さらに、災害対策としても冗長化や迂回経路の構築が重視されている。大規模災害や機器の障害時にも速やかな復旧や継続的な業務運用ができるよう全体設計がなされている。LGWANを通じたシステム構築は業務の効率化にも寄与している。
例えば、住民票や転入・転出情報と紐づく庁内システム間のデータ連携や、国・都道府県とのシステム連動など、庁外・庁内のさまざまな業務間でリアルタイムあるいは短時間でスムーズな情報連携が可能となった。従来書類の郵送や手渡し、あるいは電話で指示を仰いでいたような手間を大幅に削減し、サービス提供の迅速化、人的コスト削減につながっている。また、電子申請システムや各種届出・手続き支援システム、内部手続き自動化のためのワークフローシステムの連携もLGWAN上で円滑に進められている。この結果、住民向けサービスのオンライン化やペーパーレス化、働き方改革の推進も図られている。情報共有の範囲は本庁のみならず、出先機関や出張所、広域連携先などにも広がっている。
ネットワーク上で収集・管理されるデータ量が拡大し、情報の一元管理が課題となる中で、LGWANを基盤とした運用設計は障害管理やセキュリティリスク対策には非常に有効である。デジタル社会の進展にあわせ、今後もさらなるサービス拡充や機能追加、クラウドサービス連携などへも展開が期待されている。最終的にこのネットワークの要点は、外部のインターネットと完全分離もしくは制限接続することによる徹底した情報漏洩防止と、庁内外の関係機関へのリアルタイムな安全情報交換の両立である。自治体や公共組織の電子化・効率化・セキュリティ強化を推し進める上で必要不可欠な信頼性の高い閉域ネットワークとして、その役割は今後ますます重要となっていく。自治体などの公共機関では、安全かつ迅速に情報やデータを共有する必要性が高まっています。
そのため、多くの自治体で「LGWAN（総合行政ネットワーク）」という閉域ネットワークが導入され、公的機関同士の安全な情報通信基盤になっています。LGWANは、インターネット回線とは異なり、特定利用者だけに限定された通信経路を持つため、高い機密性と安全性が確保されています。このネットワークを通じて、住民基本台帳や税務、住民サービスなど多様な業務システムが連携し、膨大な個人情報も安全に管理されています。インターネットから物理的・論理的に分離された環境や、専用端末による厳格な運用ルールによって、ウイルス感染や不正アクセスによる情報漏洩リスクが大幅に低減されています。さらに、ネットワーク機器の定期的な更新、アクセスログの記録、災害時の冗長化設計など、信頼性と継続性を高める工夫もなされています。
LGWANの活用によって庁内外システム間のデータ連携が効率化し、書類郵送や手作業の負担も減少、業務の効率化と住民サービスの迅速化に寄与しています。今後はさらなるサービス拡充やクラウド連携が期待されており、LGWANは自治体の電子化やセキュリティ強化を支える不可欠なインフラとなっています。